大河原さんと私との出会いは、共に20代。私が京都での9年の修行後、29歳で初めて海外に向かう前の2年間を同じ料亭で同じ目標に向かって過ごしたのがはじまりです。
当時私が釜の飯を共にした料亭では、9年間の間にたくさんの先輩、後輩と関わりました。その中でも大河原さんは、私がプライベートで訪れていた陶芸家、茶花摘み、生産者さんなどにも同じように好奇心をもち、共に休みの日に時間を費やし行動した、数少ない後輩の一人。私の車で方々に出向いたのは大切な思い出です。
私が海外生活が長かったこともあり、多くの相棒とは疎遠になってしまっていますが、今でも繋がっている大きな存在の一人です。
前職は“京都いと”の料理長として、素晴らしい料理店を作り上げました。オープンからすぐにミシュラン一つ星を取ったことや多くの常連客に囲まれていたことも、それを証明しています。
その前には北海道洞爺湖、ウィンザーホテルの京都吉兆において洞爺湖サミットを成功に導くなど、私が一緒に仕事をした10代の頃から見せていたリーダーシップが生かされて実績に繋がったことは、ロンドンにいたわたしの耳にも届き、とても嬉しかったことが思い出されます。
その時のご縁から、現在ときとにも北海道や京都からの素晴らしい食材届いています。是非、全ての皆様に召し上がっていただきたいものです。
現在ときとでは、自分に対する厳しさと、持ち前の本当の意味でのやさしさを生かし、新しい挑戦として総支配人のポジション。料理長としての責任も果たしながら重圧に耐え、日々努力を続けている本当の意味でのリーダーです。
常に保つ厳しさの中で、時々垣間見せる一瞬の愉快な笑顔は皆を和ませ、その笑顔を日常からチーム内で共有することで、今度はスタッフ一人ひとりがお客様に笑顔をお届けできています。オープンして間もないときとですが、この笑顔の連鎖でリピーターの方が増えてきていることに繋がっていると私は確信しています。
石井義典